電力自由化が始まった経緯

発電事業は安定供給のため公的な性格が強く、これまで各地域の電力会社が発電及び送電事業を運営してきた

私たちの生活に欠かせない「生活インフラ」には、電気、水道、ガスなどがあります。中でも電気は水のように自然から生まれるものではなく、またガスのように輸入することもできません。そのため、電気は自国内で発電する必要があり、その電気料金は、発電効率と発電事業者の経営努力に大きく影響されます。
日々の生活が安全かつ安心のもとに保証されるためには、電気が途切れることないように電力を各事業者や各家庭に送電することが必要です。そのため、発電事業は公的な性格が強く、これまでは発電および送電の役割を担当する電力会社が各地域ごとに拠点をもち、発電及び送電事業を運営してきました。

独占企業としての立場が固定され競争原理が働かず、電気料金値下げのための経営努力が不十分になりがち

電力会社は特殊なタイプの会社です。民間企業であるため、売上及び利益を追求する経営努力が求められる一方、国民全体の生活インフラを支える役割があるため政府が定めた数多くの規制の中で事業を営んでいます。つまり、半官半民の性格も併せ持った会社です。
しかしながら、このことが別の問題をもたらすことになっていました。各地域ごとの電力会社は1社しか存在しないため競争原理が働かず、独占企業としての立場が固定されていました。
つまり、消費者にとってメリットのある電力使用料金の値下げをするための経営努力が不十分になりがちだということです。これは、一般家庭においては、家計消費における電気料金の割合が高くなることを意味し、事業者にとっては、生産活動において電気料金が高止まりしたままの状態を強いられます。

電気エネルギーに関わる規制緩和は、段階的にスケジュールに沿って実施されてきた

そこで、この独占状態にある電力市場の規制を緩和して競争原理を導入し、電気料金の値下げを目指す「電力自由化」の動きが出てきました。電気エネルギーに関わる規制緩和は、数年をかけた段階的に進行するスケジュールに沿って実施されてきました。
中でも、1995年の電気事業法が改正がその後の電力自由化の大きな経緯を形作りました。これによって独立系の発電事業者が電力を供給することができるようになりました。
その後も規制緩和の流れは段階的に進行し、2003年の電気事業法改正においては、自分が使用する電力会社を自由に選べるように「日本卸電力取引所」ができました。
2016年には、一般家庭でも利用する電力会社を選べる環境が整ってきました。電力会社から一般家庭への「電力自由化」の通知も始まりました。自分の電気使用状況(使用量や時間帯など)に応じて、適切な電力会社を選べる時代になりつつあります。